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THE PHOTOBOOK REVIEW

Posted in news,zine by tomo ishiwatari on 2012-01-23

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昨年、2011年からパリフォトの併設企画として、写真集のアワードがたちあがりました。
パリフォトと関連するノミネーターから推薦された、97年以降に制作された写真集からアワードを選出するという企画で、今回は5名のノミネーターが計60冊の写真集を推薦し、パリフォト期間中にノミネートされた写真集の中からアワードが選ばれました。

In 2011, a new award for photobooks was established in parallel with Paris Photo.  Five nominators relating to this art fair have selected 60 photobooks that were published after 1997.

ホンマの写真集は3冊、ノミネートされていました。

Three works by Homma were also nominated.


このアワードの発足に合わせ、出版社apertureから、「THE PHOTOBOOK REVIEW」という小冊子も刊行されました。

A booklet called “THE PHOTOBOOK REVIEW” was published from aperture in time with the start of this award.

ノミネーター以外の様々な方々の写真集レビューや、アレック・ソスの対談など読み応えがあるこの小冊子、残念ながらパリフォトのみでの配布だったのですが、電子書籍では購入が可能です!

Included in the booklet are photobook reviews by diverse parties and interview with Alec Soth.

以下のサイトから約¥160で購入することができます。

It can now be purchased as an e-book for 160yen from the link below.

zinio.com

apertureの「THE PHOTOBOOK REVIEW」のサイトも必見です!

Don’t forget to check out aperture website on THE PHOTOBOOK REVIW.

オランダ人写真家 エリック・ヴァン・デル・ヴァイデさんのレクチャー (後編)

Posted in site trekking,zine by iseki ken on 2011-03-7

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前回から続いている、オランダ人写真家エリック・ヴァン・デル・ヴァイデさんのレクチャーレポート、後編です。

 

それではエリックさんの作品紹介、続きからです。

 

2 This is not my Son
ソフトカバー・110ページ Rollo-Press 2009

 

この作品「This is not my son (これは僕の息子ではない)」というタイトルがついていますが、実際は本当の息子さんの写真です。しかしどこにも説明がないので本を見る人には分かりません。また、ほとんどの写真で、顔はトリミングで画面から外されたり、お面などで隠されたりしています。この作品でエリックさんは、自分の身内というただの記録写真や家族アルバムのような写真になりがちな被写体を選びつつ、ページ構成やトリミング、被写体の演技やタイトルのつけ方によって、イメージを自在に操っています。ちなみに表紙のカラフルなタイトルは「プリントゴッコ」で印刷したそうです。

3 Foto.zine nr.3 (5冊組)
4478zine 2010

 

このシリーズは、自分で撮影するのではなく、雑誌やインターネットなどにすでに存在する写真を使用する「ファウンド・フォト」とよばれる手法を用いています。上のZINEは雑誌からハンドガンのイメージを複写し銃のイメージだけ抜き出しています。このシリーズは5冊組で、他には大学の研究資料から病気のやしの木ばかり集めた「Palm Trees」、過去の新聞からフォルクスワーゲンが起こした自動車事故の写真ばかり集めた「Accident」などがあります。これらのZINEは街で最も印刷費が安く品質も悪い印刷屋でプリントされています。

(写真はAIT提供)

作品紹介のあと、ZINE製作において重要になるポイントに話は移りました。エリックさんの言葉をまとめてみます。

作品へのアプローチについて
「私が作品を作るとき、コンセプトやテーマを考え、それに関しての事前調査に多くの時間を費やします。たとえば、何ヶ月もある特定のテーマに関するリサーチを行い、写真の撮影は数日で終わってしまうこともあります。実際、私は写真を撮ることよりも、アイデアを考えたり調査したり、撮影後の編集作業のほうに面白みを感じます。」
 
マーケティング(作品の売り込み)について
「作品のオーディエンス(受け手)は誰かを常に考えなくてはなりません。少し細かいですが、私はZINEを作るときとハードカバーの本を作るときでは想定するオーディエンスが違います。もちろんZINEも好きで、ハードカバーの写真集も同様に好きだという読者もいますが、個人で流通させるZINEと出版社を通した作品発表では作品の受け手が違います。そういったことを考慮して、セルフパブリッシングフェアや展覧会、キュレーターやライターのブログ、フェイスブックのようなソーシャルネットワークを使って売り込みをします。同様に、それらのメディアが誰に届いているのかを意識することが大事なのです。」
 
製作にかかるお金について
「お金に関しても、もちろん考えなくてはなりませんよね。最初から部数を増やしたりお金をかけて製作するのではなく、できることから始めていくことが大事です。幸いZINEは工夫をすればそれほどお金はかかりません。私は小部数からはじめて、そこで得た少しのお金を次のプロジェクトにまわし少しずつ作品を増やしていきました。」

 

最後にエリックさん、「けれども、やっぱり1番大事なのはまずやってみること!」だそうです。

 

ありがとうございました!

オランダ人写真家 エリック・ヴァン・デル・ヴァイデさんのレクチャー (前編)

Posted in site trekking,zine by iseki ken on 2011-03-4

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こんにちは。between the booksエディターの井関ケンです。

先週の水曜日(2月23日) に代官山のAIT(エイト)*1にて、現在アーティスト・イン・レジデンス・プログラムで東京に滞在しているオランダ人写真家、Erik van der Weijde (エリック・ヴァン・デル・ヴァイデ) さんが行ったレクチャー「アートの実践としてのフォトZINE作り」を聞いてきました。

レクチャーのレポートにすすむ前に、まずは、エリックさんの紹介をしたいと思います。

エリックさんは1977年オランダ生まれ。現在はブラジルとオランダを拠点に、主に写真集の製作を中心に活動しています。ZINE形式を中心に、すでに20冊以上の写真集を、エリックさん自身が立ち上げた4478zineというインディペンデント出版社から発表しています。また、本という形態にこだわるエリックさんですが、ドイツのCHERTというギャラリーに所属するアーティストでもあります。

 

↑4478zineのサイト。すべてエリックさんが制作したZINE。各作品のなかも見ることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レクチャーの様子。向かって左側がエリックさん(写真はAIT提供)。

レクチャーは、まずエリックさん自身の作品の紹介から始まりました。シリーズすべては紹介できないので、3作品を取りあげたいと思います。各作品の詳細はエリックさんのサイト4478zineで見ることができます。

1 Siedlung (Settlement)
ハードカバー・256ページ ROMA Publications 2008

 

同じような建物が延々と続くこの写真集。どういった背景があるのでしょうか?エリックさんの説明を聞いてみましょう。

「1933年から1939年の間にワーキングクラスのNSDAP*2(ナチス党)メンバー全員に住居を提供することを目的に、Siedlungenと呼ばれる住居用建築物が多く建てられました。これらの建築群は、そのナチス党が、人々を失業から救い、結束を高め、コントロールするための強力なプロパガンダツールとなっていたのですね。私はこれらの建物を撮影し、写真集にまとめ、作品はオランダのROMA Publicationsより出版しました。このシリーズは歴史的事実の調査とタイポロジー的なアプローチがベースになっています。カメラは意外かもしれませんがデジタルのスナップショットカメラを使用しています。」

これらの建物は無作為に撮影されたものではなく、こういった歴史的事実に関連して選択されたのですね。エリックさんは、事前に背景や建物の住所の調査を綿密に行ったそうです。

残りの2作品の紹介、およびZINE製作へのアプローチに関しては後半で。お見逃しなく!

 

*1 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]。現代アートと視覚文化を考えるための場作りを目的として、2002年5月に設立したNPO団体。AITでは、111のレクチャーから興味のあるものを自由に選んで受講できる現代アートの学校(Making Art Different =アートを変えよう、違った角度で見てみよう)を開講している。

*2NSDAP Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei の略。ドイツの政党で一般的にナチス党、ナチ党と呼ばれる。1933年に政権を獲得後、独裁体制を確立。1945年のドイツ敗戦により解党。