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木村友紀「無題」@ IZU PHOTO MUSEUM(後編)

Posted in Found Photo,site trekking by iseki ken on 2010-10-4

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後編では、ファウンドフォトを用いている海外のアーティスト/作品を2つ紹介したいと思います。

Tacita Dean(タシタ・ディーン) /「FLOH」
タシタ・ディーンは1965年生まれのイギリス人で、映像やドローイング、写真などを用いて作品を制作しているアーティストです。この「FLOH」という写真集は、彼女が7年の間にヨーロッパやアメリカの蚤の市で買い集めた写真の中から163枚を選び編集したものです。それぞれの写真にキャプションはなく、並びあう写真にはまったく関係性がないため、それが逆に見るものの想像力をかき立てます。

 

ケッセルスクライマー /「Useful Photography」
ケッセルスクライマーはアムステルダムを拠点とした国際的な広告代理店ですが、ケッセルスクライマー・パブリッシングという出版部門を持ち「Useful Photography」というファウンドフォトを用いた写真集を2000年から毎年1冊ずつ出版しています。

各写真集ごとに明確なテーマを設けていますが、この2000年に出版された「Useful Photography #001」では、製品カタログや取扱説明書、各種マニュアルや教科書などから「役に立つ」写真を選び出し編集しています。

ケッセルスクライマーの共同創設者で、写真集の制作者の中心人物でもあるErik Kessels(エリック・ケッセルス)はインタビュー*1の中でファウンドフォトの魅力や可能性についてこう答えています。

個々の一枚のファウンドフォトにはまったく興味がありません。むしろ、ひとまとまりになっていたり、連続していたり、あるいはそうした集合が語る物語の方に興味があります。ファウンドフォトはもはや特別なものではないのです。インターネット上の至るところに溢れています。そこでは、人々が何十もの、ときには何百もの写真をグループ化しているのですから。しかし、そのなかでも、物語が含まれていたり、面白い物語を語るのはごくわずかです。そういうわけで、私はこうしたプロジェクトに向かい、関わろうとするのです。
photographer’s gallery press no.9 p.113より

*1 photographer’s galleryが発行している年刊誌 photographer’s gallery press のno.9 p.110-p122 掲載のインタビュー記事 『「有用」な写真 ー エリック・ケッセルス(ケッセルスクライマー)に聞く』

 

木村友紀「無題」@ IZU PHOTO MUSEUM(前編)

Posted in Found Photo,site trekking by iseki ken on 2010-10-1

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9月5日(日)から来年1月11日(火)までIZU PHOTO MUSEUMで木村友紀さんの展覧会「無題」が開催されています。

木村さんは「ファウンドフォト」と呼ばれる手法を用いています。「ファウンドフォト」とは、昔の家族アルバム、フリーマーケット、インターネットや道端などにある(見つけられる)、主に撮影者や撮影時期が不明で匿名の写真を利用することです*1。


本展覧会では、木村さんが「旅行中に撮影したもの、祖父のアルバムの中に見つけたもの、世界各所の様々な街で買い集めたもの、友人から贈られたものなど、別々の経緯で作家の手に渡り、それぞれのテーマに沿って厳選され*2」た写真が用いられています。また写真だけではなく、石や観葉植物などのオブジェを写真とあわせて展示しています。写真の上に石が置かれたり、観葉植物によって写真が隠されたりすることで、より「写真に写っているもの」や「見るということ」について考えさせられます。


パソコンの画面や写真集からではわからない、オリジナルプリントの質感に触れられることが写真展の目的の1つですが、木村さんの展示では、さらにオブジェや写真の配置など、より立体的な展示になっていますので、ぜひ少し足をのばして展覧会を「体験」してみてはいかがでしょうか?

次回後編では、同じくファウンドフォトを用いている海外のアーティスト/作品を紹介したいと思います。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1 家族写真や過去に自分で取った写真など、撮影者や撮影時期が特定できる写真が用いられることもありますが、「ファウンドフォト」の手法では、これらは作家性と切り離されて上記のような匿名的写真と同様に扱われることが特徴です。

*2 展覧会ホームページより