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2つの『Twentysix Gasoline Stations』

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こんにちは。between the booksエディターの井関ケンです。

今日は、1冊の写真集を紹介したいと思います。

まずは下の動画を見てみてください。なんの変哲もない航空写真です。



実はこの作品、ドイツのアーティストJoachim Schmidが、Google Earthから26のガソリンスタンドを探し出して本にしたという、ただそれだけの写真集なのです*1。

ではなぜ、26なのか、空から写したまったくフォトジェニックでないガソリンスタンドなのか、気になりますよね。

実はこの作品、アメリカ人アーティストEd Ruscha(エド・ルシェ)*2の1960年代の作品を引用しているんです。

ルシェは1960年代から70年代にかけて、写真を使って10冊以上、こういったアーティストブックを作りました*3。『Twentysix Gasoline Stations』(26のガソリンスタンド)はその中の1冊で、アメリカ西部のガソリンスタンド*4をモノクロでシステマチックに撮影した作品集です。今ではアーティストブックを作ることはポピュラーになっていますが、ルシェのこれらの作品集はコンセプチュアルなアーティストブックのさきがけとして重要なものと位置づけられています。

Joachim Schmidはこの作品を引用し、自分で同じような写真を撮るかわりに、ネット上から写真を見つけてくるという、現代のやりかたで作品にしたんですね。

Ed Ruschaの『Twentysix Gasoline Stations』。ガソリンスタンドが撮影されたロケーションと写真のみのシンプルな内容。

そういえば、ルシェはなぜ31でも18でもなく「26」という数字を選んだんでしょう?単純にその数字が好きだったのかもしれません。

オリジナルの『Twentysix Gasoline Stations』。カバーは文字のみ。

 

*1この写真集は『Twentysix Gasoline Station』だけでなく、他のEd Ruschaの作品、『Every Building on the Sunset Strip』『Thirtyfour Parking Lots』などを引用した写真も含まれているのですが、ここでは分かりやすくするために説明を省いています。
*2 Ed Ruscha(エド・ルシェ)1937年生まれのアメリカ人アーティスト。作品の形態は、ペインティング、ドローイング、写真、アーティストブックなど多岐にわたる。アメリカ西部のシティスケープと文字を組み合わせた作品が有名。
*3 『Twentysix Gasoline Stations』は1963年出版。他にはサンセット・ストリートをくまなく撮影し、蛇腹形式の本に仕上げた『Every Building on the Sunset Strip』(写真下)など。


*4 当時ルシェは、住んでいたカリフォルニアと故郷のオクラホマを年に数回往復していて、このアイデアを思いついた。

Written by iseki ken

2011/09/21 at 12:44

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