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オランダ人写真家 エリック・ヴァン・デル・ヴァイデさんのレクチャー (後編)

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前回から続いている、オランダ人写真家エリック・ヴァン・デル・ヴァイデさんのレクチャーレポート、後編です。

 

それではエリックさんの作品紹介、続きからです。

 

2 This is not my Son
ソフトカバー・110ページ Rollo-Press 2009

 

この作品「This is not my son (これは僕の息子ではない)」というタイトルがついていますが、実際は本当の息子さんの写真です。しかしどこにも説明がないので本を見る人には分かりません。また、ほとんどの写真で、顔はトリミングで画面から外されたり、お面などで隠されたりしています。この作品でエリックさんは、自分の身内というただの記録写真や家族アルバムのような写真になりがちな被写体を選びつつ、ページ構成やトリミング、被写体の演技やタイトルのつけ方によって、イメージを自在に操っています。ちなみに表紙のカラフルなタイトルは「プリントゴッコ」で印刷したそうです。

3 Foto.zine nr.3 (5冊組)
4478zine 2010

 

このシリーズは、自分で撮影するのではなく、雑誌やインターネットなどにすでに存在する写真を使用する「ファウンド・フォト」とよばれる手法を用いています。上のZINEは雑誌からハンドガンのイメージを複写し銃のイメージだけ抜き出しています。このシリーズは5冊組で、他には大学の研究資料から病気のやしの木ばかり集めた「Palm Trees」、過去の新聞からフォルクスワーゲンが起こした自動車事故の写真ばかり集めた「Accident」などがあります。これらのZINEは街で最も印刷費が安く品質も悪い印刷屋でプリントされています。

(写真はAIT提供)

作品紹介のあと、ZINE製作において重要になるポイントに話は移りました。エリックさんの言葉をまとめてみます。

作品へのアプローチについて
「私が作品を作るとき、コンセプトやテーマを考え、それに関しての事前調査に多くの時間を費やします。たとえば、何ヶ月もある特定のテーマに関するリサーチを行い、写真の撮影は数日で終わってしまうこともあります。実際、私は写真を撮ることよりも、アイデアを考えたり調査したり、撮影後の編集作業のほうに面白みを感じます。」
 
マーケティング(作品の売り込み)について
「作品のオーディエンス(受け手)は誰かを常に考えなくてはなりません。少し細かいですが、私はZINEを作るときとハードカバーの本を作るときでは想定するオーディエンスが違います。もちろんZINEも好きで、ハードカバーの写真集も同様に好きだという読者もいますが、個人で流通させるZINEと出版社を通した作品発表では作品の受け手が違います。そういったことを考慮して、セルフパブリッシングフェアや展覧会、キュレーターやライターのブログ、フェイスブックのようなソーシャルネットワークを使って売り込みをします。同様に、それらのメディアが誰に届いているのかを意識することが大事なのです。」
 
製作にかかるお金について
「お金に関しても、もちろん考えなくてはなりませんよね。最初から部数を増やしたりお金をかけて製作するのではなく、できることから始めていくことが大事です。幸いZINEは工夫をすればそれほどお金はかかりません。私は小部数からはじめて、そこで得た少しのお金を次のプロジェクトにまわし少しずつ作品を増やしていきました。」

 

最後にエリックさん、「けれども、やっぱり1番大事なのはまずやってみること!」だそうです。

 

ありがとうございました!

Written by iseki ken

2011/03/07 at 19:00

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