Brighton Photo Biennial 2010 ロンドンレポートby中原紗代子
between the booksでは、定期的にアートライター/キュレーターの中原紗代子さんに、ロンドンから写真に関するホットな情報をレポートしていただいています。第2回目は、11月14日まで、ロンドンから南へ80キロほどの港町ブライトンで開催されていたブライトン・フォト・ビエンナーレに関するレポートです。
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Brighton Photo Biennial 2010
ロンドンから南へ電車で約1時間の海辺の町、ブライトンに、リゾートでも「ブライトン・ロック」でもない、写真という新たなイメージが定着しつつあります。英国の気鋭写真家、マーティン・パーをキュレーターに迎えての国際写真展、ブライトン・フォト・ビエンナーレ。4回目となる今回のテーマは「ニュー・ドキュメンツ」。パーは、新しい記録媒体としての写真の可能性を探るべく、出展作品はすべてデジタルプリント、フレームなし(壁にピン止め+スライド上映)、大半がブライトンで撮り下ろした新作という、画期的なコンセプトを打ち出しました。
メイン会場のひとつ、ブライトン美術館で行われているのは、アレック・ソス、スティーブン・ギル、川内倫子の3人展『Strange & Familiar』。

Carmen & Alec Soth, Untitled. From the series “Brighton Picture Hunt”. 2010. Photoworks Commission
7歳の愛娘との微笑ましいコラボ作(*)を披露したソス、ブライトンで拾い集めたガラクタをカメラに入れ、街の風景に写し込んだギル、そして初のデジタル撮影で夜の海岸に舞う海鳥の群れを収めた川内。不慣れな街を新鮮な感覚で捉えた一瞬一瞬が、フレームレスの即興的な展示とマッチしています。

Stephen Gill, Untitled. Extract from “Outside In”, 2010 In association with the Archive of Modern Conflict

Rinko Kawauchi, Untitled, from the series “Murmuration”, 2010. Courtesy of the artist and FOIL GALLERY, Tokyo. Photoworks Commission
またエキセントリックなのは、ファブリカでの『The House of Vernacular』展。60~70年代のアフリカン・プライベートジェットのインテリア写真や、コロンビアはボゴタの街中で帽子をかぶった紳士のみを追ったスナップのスライドショーなど、色濃いローカルネタが民家仕立ての空間に並んでいます。

Jose Emilio Fornaris, Men in Hats, (C) Archive of Modern Conflict

Nick Gleis, Aeroplane Interiors (C) Archive of Modern Conflict
表のテーマが「ニュー・ドキュメンツ」なら、裏テーマは「ポップ、キッチュ、マニアック」を交えたパー独特の美学と、ウィットに富んだ視点。自分は1度もシャッターを押さずとも、どこを切っても「マーティン・パー」が強烈に映し出されるキュレーションは、アーティスト企画の展示が増えているイギリスでも異色でしょう。ところでブライトンには、同名の映画(もしくは小説)とは別に、切っても切っても「ブライトン・ロック」という文字が現れる、金太郎飴のような銘菓があります。
* 英国入国審査でソスが受けた不当な撮影禁止令への対処として、今回は娘が撮り下ろした。












